マルク板金工業

ー屋根の断熱性を高める方法と断熱材の選び方ー

 

快適な住環境を実現するためには、屋根による断熱が不可欠です。

 

この記事では、屋根の断熱材の種類や選び方、施工時の注意点についてご紹介します。

 

住まいに適した断熱材を選んで、光熱費を節約しつつ、心地よい空間をつくりましょう。

 

屋根における輻射熱への対策

 

屋根や天井裏の温度が上昇する主な理由は、輻射熱(遠赤外線を含む熱線)です。太陽からの熱によって屋根が温められ、その熱が下に伝わり室内を暖かくします。

 

屋根に断熱材が設置されていないと、上階や屋根裏の温度は上がりやすいです。一方で適切な対策を施していれば、輻射熱が遮断されるため、家全体の温度上昇を抑えられます。

 

効果的に断熱するには、適切な断熱材・方法を選ぶことが重要です。工法によって効果が大きく異なるので、注意深く選んでいきましょう。

 

屋根における3つの断熱方法

 

屋根を断熱する方法は、主に3つに分けられます。

 

・屋根断熱
・天井断熱
・塗装断熱

 

ここからは、それぞれの利点と欠点を解説していきます。

 

1.屋根断熱

 

屋根断熱は、断熱材を屋根に設置する方法であり、主に2つの利点があります。

 

・住まい全体に優れた断熱効果をもたらす
・天井裏を生活空間として利用できる

 

屋根に断熱材を取り付ければ、外部からの熱を大幅にカットでき、住まい全体へと広がる熱を最小限に抑えられます。

 

天井裏の温度上昇も抑制できるので、生活空間としても快適に利用可能です。

 

一方で、欠点もいくつかあります。

 

・施工費が比較的高い
・空調によるコストが増加しやすい
・物理的な限界がある

 

広範囲にわたって断熱材を設置するため、天井断熱と比較して工事費はおおむね10%から30%高いです。

 

天井断熱のように居住用のスペースが狭くなる心配はないものの、天井断熱に比べると空間が広い分、光熱費が高くなる可能性があります。

 

また、断熱材の厚みには物理的な限界があり、屋根材によって断熱材の選択肢が限られます。既存の建材との相性が悪く、高性能な断熱材を利用できない場合は、思うような断熱効果が得られないかもしれません。

 

2.天井断熱

 

天井断熱とは、天井に断熱材を取り付ける施工であり、主に3つの利点があります。

 

・断熱性能の大幅な向上
・施工コストの削減
・空調費用の節約

 

天井断熱では、屋根断熱に比べて断熱材の物理的な制限が少なく、高性能な断熱材を取り付けやすいです。そのため適切な断熱材を選べば、断熱効果を大きく向上可能です。

 

また、屋根に比べると施工範囲が狭く、工事の費用を抑えられます。

 

断熱材の厚みの分、屋内のスペースが狭くなるため、空調の効率が向上して光熱費を削減できるかもしれません。

 

一方で、欠点もあります。

 

・天井裏を居住空間として利用するのは難しい
・施工に高度な専門技術が必要

 

天井断熱は、天井と屋根の間が充分に断熱されないため、天井裏を活用するのは難しいです。断熱されていない天井裏は温かい空気や冷たい空気が溜まりやすく、外部の気候変動による室内への影響が大きくなるおそれもあります。

 

また天井断熱は特殊な技術が必要であり、技術力の低い業者による施工は、断熱性能の低下を招くリスクがあります。

 

3.塗装断熱

 

塗装断熱は、断熱性のある特殊な塗料を用いて屋根を塗装する方法です。屋根の修理と同時に施工でき、手間やコストを削減可能です。

 

通常、屋根は約10年ごとのメンテナンスが推奨されています。屋根の工事には足場設置が必要であり、施工を複数回に分けると費用が高額になってしまいます。しかし塗装は、メンテナンスの一環として行えるため、余分な手間や費用はかかりません。

 

しかし、屋根断熱や天井断熱に比べて断熱性能が劣るという欠点もあります。基本的に断熱性能は材料の厚さに比例するものの、塗料(塗膜)の厚さは0.1cmに満たないからです。

 

塗装断熱は主に屋根の修理を目的としているため、断熱効果は二次的な効果だと考えましょう。

 

屋根断熱に適した4種類の断熱材

 

屋根の断熱性を高めるために用いられる材料は、主に4種類に分けられます。

 

・無機繊維
・天然繊維
・発泡プラスチック
・断熱塗料

 

それぞれ特徴が異なるため、目的やニーズに応じたものを選択しましょう。

 

1.無機繊維

 

無機繊維でつくられる断熱材には、「グラスウール」や「ロックウール」といった製品があります。

 

これらは低コストでありながらも、防火性能と音響性能が高いというメリットがあります。

 

しかし、ホルムアルデヒドなど有害物質を含む可能性があり、シックハウス症候群などに注意が必要です。

 

2.天然繊維

 

天然繊維製の断熱材には、「羊毛断熱材」や「セルロースファイバー」があり、有害物質を含まないことや優れた防音性・吸湿性が特徴です。

 

一方で、無機繊維素材と比較して価格が高く、防虫効果が劣るというデメリットもあります。

 

3.発泡プラスチック

 

発泡プラスチック製の断熱材は、「硬質ウレタンフォーム」など、気泡を含む構造によって断熱性をもたらします。

 

軽量・薄型なものの、断熱性は高く、湿気への抵抗力も特徴です。

 

ただし無機繊維と比べると価格はやや高めです。

 

4.断熱塗料

 

断熱効果のある「ガイナ」などの塗料は、屋根材の保護と断熱性の向上をまとめて実現できます。

 

しかし、断熱性はほかの素材よりも低く、コストは無機繊維の約2~5倍と高価です。

 

屋根の断熱方法と材料を選ぶポイント

 

屋根の断熱方法は、天井裏を利用するかどうかをもとに決めていきましょう。

 

天井裏を活用する場合は屋根断熱が適しており、活用しない場合はコストパフォーマンスに優れる天井断熱がおすすめです。

 

断熱材は、費用対効果の高い「グラスウール」や「ロックウール」などの無機繊維が一般的ですが、防湿性を重視する場合は天然繊維が適しています。

 

また特殊な構造の住まいなどでは、業者から発泡プラスチックを提案されるケースもあります。

 

屋根の断熱性を高める際のポイント3選

 

屋根の断熱性を高めるために業者に依頼する際は、3つのポイントを意識しましょう。

 

・複数業者から見積もりを取得して比較する
・天井裏の換気を考慮する
・断熱性の高い塗料を選択する

 

屋根の工事では、価格とサービス内容を照らし合わせ、信頼できる業者を選ぶことが重要です。価格が極端に低い、または工事内容が不透明な業者は避けましょう。

 

また断熱性能を最大化するためには、屋根裏の換気が必要です。特に天井断熱の場合、屋根裏に換気扇などを設置すると、さらに断熱性を向上できます。

 

塗装断熱を選ぶ際には、性能や屋根材との相性などを考慮して、住まいに合った製品を選びましょう。

 

屋根に適した断熱材と工法を選んで快適に暮らそう

 

屋根の断熱性を高める方法や断熱材の種類、効果的な工法の選び方などを紹介しました。

 

快適な住環境の実現には、屋根の断熱が不可欠です。適切な方法で施工された断熱性の高い屋根は、暮らしの快適性を大きく向上させます。

 

最適な断熱方法を選び、理想の住まいを実現しましょう。